家事をキーパーに任せてイタリア映画とワインで休日を Cinema Italiano
家族の肖像 / Conversation piece
1970年代、ローマ。 18世紀の家族の肖像画を収集する年配の教授の平穏な生活に入りこんだ間借り人。そして彼らのために、一変する生活。
ローマに暮らす老教授の趣味は18世紀に流行した家族の肖像画のコレクション。コレクションに囲まれた部屋で孤独だが平穏な日々を送っていた。そこへ、空いている屋敷の2階を借りたいという夫人が現れた。夫人の娘と婚約者、そして夫人の愛人が、教授の生活に入りこんでくる。最初は、厄介ごとを背負い込んだかのように感じていたが、肖像画ではない生きている彼らの存在は、徐々に家族のように感じられてきた。
アクシデントから、愛人のコンラッドには教養があることを知る。率直にものをいう現代っ子のリエッタにも好感を感じる。年老いた教授には理解しがたい言動がないわけではないが、それでも、彼らと関わりを持つことはけして嫌ではない。
おなかが空いたというリエッタのために、教授は彼らを台所へと案内する。台所の中でテーブルを囲み、パンやチーズを切り分けて一緒に食べる。ステーファノは、鍋の中のシチューを味見したがる。それは、肖像画を集めることで、ごまかしてきた教授の求めていた団欒だった。
教授に象徴される老いと孤独。それはそのまま、晩年のヴィスコンティ自身の姿と重なる。老いて、孤独と静寂の中で暮らすようになって、それをよしとしていても、やはり孤独な状態ばかりでは寂しさも募るのだろう。
教授が自戒するかのような回想シーン。「おじいちゃんは孤独じゃない。メイドもコックもいる」と母親にくちごたえする。そのことばが、自分につきつけられるようになった頃、初めてことばの持つ残酷さに気づくのかもしれない。
ロケ地 / ローマ
全編セットによる撮影。屋敷の2階から見えるローマの眺望もセットである。
製作 / 1974 イタリア・フランス [英語作品]
監督 / ルキノ・ヴィスコンティ
キャスト /
コンラッド … ヘルムート・バーガー
ビアンカ … シルヴァーナ・マンガノ
リエッタ … クラウディア・マルサーニ
ステファーノ … ステーファノ・パトリーツィ
教授の妻 … クラウディア・カルディナーレ (ノンクレジット)
教授の母 … ドミニク・サンダ (ノンクレジット)
カラヴァッジオ / Caravaggio
16世紀末~1610年、ローマ、ポルト・エルコレ。ルネッサンス・バロック期のアウトサイダー的な画家、カラヴァッジオ(本名:ミケランジェロ・メリージ)の生涯を回想とモノローグで綴る。
カラヴァッジオは、まだ少年であった頃からその絵の実力を認められ、数々の作品を製作する。成功の道を進む彼は、酒場で見かけたラヌッチオに心惹かれる。ラヌッチオとその恋人レナと親しくなるが、お互いの感情が少しずつすれ違い、溝となり、気がついた時、彼はラヌッチオの血に染まったナイフを握り締めていた。
教皇の庇護を受け製作を続けるカラヴァッジオの姿がその作品と共に淡々としたトーンで描かれる。奔放で激情のひとというイメージは感じられない。淡々とつづられるストーリーとともに画面に現われるカラヴァッジオの作品もチェックしたい。
1606年の殺人が原因で、ローマを追われる身となったカラヴァッジオ。ナポリ、マルタ、シチリアと渡り歩き、免罪を期待してローマへ戻る途中ポルト・エルコレで熱病のため死亡したという史実を知らずに見てしまうと、やや理解しにくい構成かもしれない。
だが、娼婦や貧民をモデルにして描いたり、男色の趣味があったりという、基本的な内容は史実に基づいてはいるものの、細部は創作。(実際に彼がローマから逃げるきっかけとなった殺人は、テニスでの得点争いが原因だとされている。)時代考証をあえて無視したかのような部分も見受けられる。
赤と黒、光と影。カラヴァッジオの絵画そのものであるかのようなコントラストのはっきりした映像が印象的。
カラヴァッジオの作風に影響を受けた画家も多い。アルテミシア・ジェンティレスキもその一人。
なお、作品中の絵画は以下の通り(出現順)それぞれ、以下の美術館で鑑賞することができる。
参考 : Web Gallery of Art ~ Caravaggio
メデューサ (1598-99) … ウフィッツィ美術館、フィレンツェ
果物かご (1597) … アンブロジアーナ絵画館、ミラノ
病めるバッカス (1593) … ボルゲーゼ美術館、ローマ
リュートを弾く少年 (1596) … エルミタージュ美術館、サンクト・ペテルブルグ
音楽家たち (1595-96) … メトロポリタン美術館、ニューヨーク
未確認 … 男性数名の立位の絵
洗礼者ヨハネの斬首 … 聖ヨハネ准司教座聖堂併設の博物館、ヴァレッタ、マルタ
勝利のキューピッド (1602-03) … 国立美術館絵画館、ベルリン
洗礼者ヨハネ (1604) … ネルソンギャラリー、カンサス・シティ
マグダラのマリア (1596-97) … ドーリア・パンフィリ美術館、ローマ
聖母の死 (1606) … ルーブル美術館、パリ
キリストの埋葬 (1602-03) … ヴァチカン美術館、ローマ
製作 / 1986 イギリス[英語作品]
監督 / デレク・ジャーマン
キャスト /
ラヌッチオ … ショーン・ビーン
エルサレム … スペンサー・レイ
レナ … ティルダ・スウィントン
カラヴァッジオ
から騒ぎ / Much ado about nothing
時代設定不明、メッシーナ。凱旋したアラゴン大公とその部隊が訪れた領主の館で繰り広げられる二つの恋物語のゆくえ。
戦いを終えたアラゴン大公、ドン・ペドロの部隊が訪れたのは、メッシーナのレオナートの館。部隊の中のクローディオはレオナートの娘、ヒーローに一目惚れしてしまう。一方、同じ部隊のベネディックとレオナートの姪のベアトリスは、会えば必ず皮肉たっぷりの会話が始まるが、実はお互いを意識する仲。この二組のカップルをなんとか結び付けようと周囲が画策するのだが、ドン・ペドロの腹違いの弟、ドン・ジョンがそれを邪魔しようと絡んでくる。それぞれの恋は成就するのだろうか。
ベネディックとベアトリスの英国流ユーモアたっぷりの会話は、できれば原語で味わいたいところ。シェークスピア原作の作品であるから、ストーリー運びは当然シェークスピア流。ロミオとジュリエットやオセロで見られたモチーフがこの作品でも散りばめられている。
笑いながらも最後にほろりとする佳品である。
冒頭の、大公の部隊を迎えるため支度をする女たちの様子を捉えたシーン、そして、エンディングのダンスのシーンなど、カメラワークも秀逸。
なお、ベアトリスを演じたエマ・トンプソンは、撮影当時、実生活でもケネス・ブラナー夫人であった。
ロケ地 / キァンティ
Villa Vignamaggio … レオナートの館
原作の舞台となったメッシーナはシチリアの都市であるが、本作品の撮影はトスカーナで行われ、メッシーナもトスカーナ内の都市として扱われているようである。
アラゴンの大公のアラゴンとは13世紀から16世紀の間南イタリア・シチリアを統治したナポリ王国のアラゴン家である。
製作 / 1993 イギリス [英語作品]
監督 / ケネス・ブラナー
キャスト /
ベネディック … ケネス・ブラナー
ドン・ペドロ … デンゼル・ワシントン
ドン・ジョン … キアヌ・リーブス
原作 / ウィリアム・シェークスピア 『から騒ぎ』 白水社 小田島雄志【訳】
また、切れてしまいます。