家事をキーパーに任せてイタリア映画とワインで休日を Cinema Italiano
ジュリオの当惑(とまどい) / La messa e finita
1980年代、ローマ。教区変えで小さな島からローマ郊外の街に赴任してきた司祭ジュリオ。住人の正しくない行いを正すべく奮戦する。
理想に燃えるジュリオが赴任後に新しい教区で直面する問題。前任者が妻帯していたり、かつての友人が留置所に入れられていたり、ジュリオには頭の痛いことばかり。周囲が彼に頼る時には決まって「だって、おまえは司祭じゃないか」。司祭として、果たすべきことを全うしようとするジュリオは、彼の家族自身も「司祭の家族にあるまじき」問題を抱えていることを知る。父親は妹の親友と同棲を始め、妹は婚約者の子供を身ごもるが生むつもりはないという。そして、母の行動で、彼の中の張りつめていたものが切れる。ジュリオが戸惑うことをやめたとき、皮肉にも彼の求めていたものが、目の前にもあったことに気づく。
頑なに真面目なジュリオを襲う不幸な出来事の連続は、出口の見えない不況下の不安にも似ている。あるべき姿を追い求めるばかりではなく、立ち止まって辺りを見回す余裕がほしい。その余裕が結果的に近道となるのかもしれない。
ミサが終わり、振り返ったジュリオの目に写る光景。ラストシーンと「リトルネライ」のメロディが印象的。
ロケ地 / ローマ
”Nuovo Sacher (モレッティの映画館)”の裏にある野外映画劇場
製作 / 1985 イタリア
監督 / ナンニ・モレッティ
キャスト /
父 … フェルッチョ・クレソッティ
母 … マルガリータ・ロザーノ
妹 … エンリカ・マリア・モドゥニョ
情事 / L'avventura
1950~60年代、ローマ、 エオリア諸島、ノート、メッシーナ、パレルモ、タオルミーナ、ほか。 失踪した友人を探すうちに、友人の恋人と深い関係になってしまうクラウディア。愛情と同時にクラウディアの心に芽生える不安。 アントニオーニの「夜」「太陽はひとりぼっち」へと続く愛の不毛3部作の第1作。
ローマに暮らすアンナとクラウディアは、グループでシチリア旅行へと向かったが、着いた矢先にアンナが姿を消してしまった。クラウディアとアンナの恋人・サンドロのふたりでアンナの行方を追うことになり、メッシーナ、ノ ート、タオルミーナと探し続けるが、アンナはみつからない。アンナはなぜ失踪したのか? 失踪したアンナは生きているのか? 生きているとしたらどこに?
客観的には満ち足りた女性・アンナの失踪というミステリのような展開に目を奪われがちであるが、実はストーリーの焦点はアンナの動向ではなく、クラウディアの心情。
ローマにいたときにはアンナが抱える不満/不安を理解できなかったのに、サンドロの愛情を手にしたとき、おそらくアンナが抱えていたであろう不安を自分もまた抱え込んでしまったことに気づくクラウディア。そして、アンナが無事に見つかることを願うと同時に、見つかることを恐れるという相容れないふたつの感情を抱え込む。 アントニオーニ作品の代名詞「愛の不毛」が、この作品でも描かれている。
自分の感情を咀嚼しきれない不安定さを、どこか虚ろな表情のモニカ・ヴィッティが好演。
ラストでクラウディアの感じた不安がひとつ、現実のものとなる。
ロケ地 / ローマ、 エオリア諸島、ノート、メッシーナ、パレルモ、モンデッロ、ミラッツォ、バゲリーア、タオルミーナ
ローマ
エオリア諸島
リスカ・ビアンカ島 … アンナが姿を消す無人島
パナレア島 … クルージングで訪れる島
ノート
ドゥオーモの屋上 … サンドロが将来について話すシーン
メッシーナ
アメリカ人作家に群がる群衆のシーン
パレルモ
Villa Niscemi … 公爵夫人の館か
モンデッロ
ミラッツォ
警察署のシーン
バゲリーア
パラゴニア荘
タオルミーナ
San Domenico Palace … 修道院を改装したホテル。ラストシーン
製作 / 1960 イタリア
監督 / ミケランジェロ・アントニオーニ
キャスト /
サンドロ … ガブリエル・フェルゼッティ
アンナ … レア・マッセリ
娼婦ベロニカ / A destiny of her own
1583年ヴェネツィア。女性が男性の所有物として扱われていた時代。詩人であり、高級娼婦であったベロニカの半生。当時実在したベロニカ・フランコ本人がこの作品のモデルである。
ベロニカは古い家柄の娘であったが、身分違いであることを理由に、恋人である貴族のマルコと結婚できない。ふさぎこむベロニカにひとつだけマルコを手に入れる方法があると、母がささやく。その方法とは高級娼婦になること。かつて高級娼婦だった母のてほどきを受け、ベロニカはコーティザン(高級娼婦)としての道を歩む。地位も高く権力もある男達からの予約がひっきりなしに舞い込むようになると、マルコも気が気ではない。そしてベロニカの存在は政治的にも影響力を及ぼすようになる。
高級娼婦とは普通の娼婦とは違った特殊な存在。身分の高い男性達を相手にするため、容姿やベッドでのテクニックはもちろんのこと、優雅な身のこなしや高い教養が要求される。娼婦としての役割の部分を除けば、レディであることが要求されるのだ。また、それゆえに、男性社会において一目置かれる存在にもなりうる。
ロケ地 / ローマ 他
ストーリーの大部分の舞台はヴェネツィアだが、運河を含むこの風景のほとんどは、ローマのチネチッタ・スタジオ内のセットによる撮影。
オルシーニ・オデサルチ城/ブラッチアーノ、
ヴィラ・アルドブランディーニ/フラスカティ … ベロニカとマフィオの決闘シーン
製作 / 1998 アメリカ [英語作品]
監督 / マーシャル・ハースコビッツ
キャスト /
マルコ … ルーファス・シーウェル
マフィオ … オリバー・プラット
パオラ(ベロニカの母) … ジャクリーン・ビセット
原作 / マーガレット・ローゼンタール … 「The Honest Courtesan: Veronica Franco, Citizen and Writer in Sixteenth-Century Venice」 (自伝)