映画紹介

奇跡の丘|昨日・今日・明日|グッド・モーニング・バビロン!|グラン・ブルー

奇跡の丘 / Il vangelo secondo Matteo 紀元前-30年代、エルサレム、エジプト、他。無神論者・パゾリーニが、キリストの生涯を新約聖書の「マタイの福音書」を元に映像化した作品。 マリアの懐妊に始まり、東方三博士の礼、ヘロデ王の嬰児大虐殺、パンと魚の奇跡の話、サロメが洗礼者ヨハネの首を所望した話、最後の晩餐、釈放されたバラバ、磔刑、そして復活と、絵画等の主題になるような内容はほとんど描写されているし、 「汝の隣人を愛せよ」というような、よく知られたキリストのことばも、作中に多数含まれている。 他のパゾリーニ作品に見られるような”毒気”はなく、敬虔なキリスト教信者の視点で描かれているといえるだろう。 飾り気のない映像も、キリストを語るにふさわしい。パゾリーニが無神論者であることを知らなければ、キリスト教信者によるキリスト教布教の為の作品にも思えるほどである。いったい、パゾリーニの意図はなんだったのか。 パゾリーニがアッシジ滞在中に時の法王、ヨハネ23世のアッシジ訪問に遭遇し、ホテルで街の喧騒を聞きつつ手にした聖書が、この映画製作のきっかけとなったらしい。しかし、「奇跡の丘」撮影前に発表したオムニバス映画「ロゴパグ」の第3話「リコッタ」で、キリストの磔刑映画のパロディーを描き、「宗教を侮辱した」かどで告訴された(判決は無罪であった)という経緯があったので、パゾリーニによるキリストの映画製作には反対も多かったという。 ところが、「奇跡の丘」が発表されると、国際カトリック映画事務局賞を受賞。ローマ法王庁がキリスト教徒に適した映画を選出する「ローマ法王のオスカー」と呼ばれるリストでも、「奇跡の丘」は上位に入っている。ヴァチカンのお墨付きになったわけである。 ロケ地 / オルテ、カーヴォ山、ティヴォリ、ポテンツァ、マテーラ、サッシ・エ・リーネ・サン・アニェーゼ、バリーレ・マテーラ、バリーラ、ターラント、マッサフラ、クロトーネ、エトナ渓谷 オルテ近郊のキーア城 … キリストの洗礼 カーヴォ山 … 山上の垂訓 ティヴォリ … ゲッセマネの菜園、 ポテンツァ近郊 … ナザレ マテーラ、 サッシ・エ・リーネ・サン・アニェーゼ … エルサレム バリーレ・マテーラ … ベツレヘム バリーラ近郊 … 嬰児虐殺 ターラント-バルレッタ間の田園地帯…布教の地 モンテ・バーリ城 … 法務官執務邸 ジョイア・デル・コッレ・バーリ城 … 神殿からの放逐、ヘロデ大王の王宮 マッサフラ … カフォルナオ カタンツァーロ古城 … パンと魚の奇跡 クロトーネ近郊 … 布教の地、テベリア湖 エトナ渓谷 … 砂漠での誘惑 製作 / 1964 イタリア 監督 / ピエル・パオロ・パゾリーニ キャスト / 老いたマリア … スザンナ・パゾリーニ (パゾリーニの母)
昨日・今日・明日 / Ieri, oggi, domani 1960年代、ナポリ、ミラノ、ローマ。 イタリアの3都市を舞台にしたオムニバス。男女を主人公に、それぞれの街の気質を描く。 [ナポリ] 失業中の夫と、幼子を抱えて働くアデリーナの仕事は闇タバコの販売。妊娠中及び産後6ヵ月は刑務所行きを免れるとわかると、彼女は妊娠をくりかえす。だが、カルミーネの体がもたなくなり……。 [ミラノ] 大企業の社長を夫にもつアンナは、毎日の生活に退屈していた。浮気相手のレンツォとのデートの日、彼女のロールス・ロイスをレンツォに運転させるのだが、レンツォは事故を起こしてしまう。 [ローマ] 高級娼婦のマーラ。隣り合うテラスで顔を合わせた神学生と親しくなるが、その神学生の祖母から「息子にはかかわらないで」と注意される。 それぞれの話は、それ一つでも楽しいコメディ。その話がそれぞれの都市の気質を表していると同時に、それぞれの女性の違いが都市の違いを象徴しているようでおもしろい。 夫と子どものために体を張って働くアデリーナ。カルミーネがダメになったとき、別の男性と子どもを作ろうとするが、「やっぱりカルミーネじゃなきゃいや」と、泣きながら刑務所行きを決意するナポレターナの情の深さ。気取ってロールス・ロイスを運転するアンナ。事故を起こしたレンツォは頼れないとわかれば、別の紳士に頼るアンナのしたたかさ。自分を注意した口うるさい隣人でも、その悩みを親身にきいてやり、自分の気持ちに嘘をついてでも、力になろうとするマーラの思いやり。 ロケ地 / ナポリ、ミラノ、ローマ ナポリ ミラノ … ドゥオーモ、スカラ座から中央駅を通りすぎて郊外へ ローマ … テラスの向こうに見えるのはナヴォナ広場 製作 / 1963 イタリア・フランス 監督 / ヴィットリオ・デ・シーカ キャスト / カルミーネ … マルチェロ・マストロヤンニ   レンツォ … マルチェロ・マストロヤンニ   ルスコーニ … マルチェロ・マストロヤンニ
グッド・モーニング・バビロン! / Good morning, Babilonia 1915年、ピサ、アメリカ。 ハリウッド映画の創成期において、その美術スタッフとして映画製作に携わったイタリア人兄弟の物語。 トスカーナの歴史的建築物の修復を手がける一家。経済的理由から、家業を続けることを断念、7人兄弟の末の2人はアメリカへ渡ることに。アメリカでも簡単に職は見つかるはずはなく、苦労が続くが、D・W・グリフィスの映画の美術スタッフの仕事に就く。結婚もして順風満帆に見えた2人の生活は、あることをきっかけにバランスを崩してしまう。 全体を通して、兄弟・家族の結びつきの強さを感じる。2人の父親のセリフにそれが感じられる。 「いつも平等に一緒にいることがお前らの力だ。それを忘れると、仇同士になる」 もうひとつ、印象的なセリフを。イタリア人は怠け者だと、仕事をくれない製作主任に向かってニコラは言う。 「おまえらの先祖はいったい誰なんだ?俺達の先祖はミケランジェロとダ・ヴィンチだぞ! (Whose son are you? We are the son of the son of the son of the ・・・・・Michelangelo and Leonardo!)」 ロケ地 / ピサ、アメリカ ピサのドゥオーモが「奇跡の聖堂」として登場。兄弟が苦境に立たされるたび彼らの脳裏に去来する。 製作 / 1987 イタリア・フランス・アメリカ [英語作品(イタリア語部分あり)] 監督 / パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ キャスト / アンドレア … ジョアキム・デ・アルメイダ 父 … オメロ・アントヌッティ エドナ … グレタ・スカッキ
グラン・ブルー / Le grand bleu 1980年代、タオルミーナ、ギリシャ、他。潜水の世界記録を競うジャックとエンゾ。海に魅入られた二人の男の友情。 幼い頃、ギリシャの海で出会ったジャックとエンゾ。時は流れ再びであった時、彼らは潜水の記録を競うダイバーとなっていた。ライバル、ジャックに対して彼を仲間として扱うと同時に、競争心をむき出しにするエンゾ。エンゾの誘いにのって選手権に現れたものの、自己の記録にしか関心のないジャック。そして、偶然出会ったジャックのことが忘れられず、彼に会いにニューヨークからタオルミーナへやってきたジョアンナ。潜水の新記録をつくるのはどちらなのか?ジャックとジョアンナの恋のゆくえは? ストーリーとともに、タオルミーナの美しい海を堪能してほしい。 イルカの写真を見せて「僕の家族なんだ」と言うジャックは、ジョアンナと恋に落ちるが、人間の女性とうまく接することができない。ベッドからひとり抜け出し、一晩中海でイルカと遊んでしまったりする。「海に潜ると、地上に帰ってくる理由がない」とつぶやくジャック。ジャックは海を選んだのか? エンゾのマンマは私たちのイメージどおりのイタリアのマンマ。エンゾの潜水記録が出れば、集まってくれた友人たちに山盛りのパスタを振る舞い、エンゾがレストランのパスタを食べたとわかれば、険しい表情になる。大の男のエンゾもマンマにはかなわない。 ジャック、エンゾともにモデルとなった人物がいる。エンゾのモデルとなったエンツォ・マイオルカ氏が、映画での描かれ方に納得がいかないとして、訴訟を起こし(不満を持っていた点のひとつは、最愛のマンマが「不機嫌で醜い存在」として描かれていたことだとか)認められたため、イタリア国内ではこの映画は上映されていないという。 ロケ地 / タオルミーナ、ギリシャ他 ロケに使用されたホテルは、2個所。 San Domenico Palace … 修道院を改装したホテル。ガーデン・パーティー、中庭を囲むガラスの回廊。 Capo Taormina … 海岸へ通じる洞窟、岩場にある海に面したレストラン(パスタを食べるシーン)、プール。 このホテル、ランチはビュッフェなので、ディナーでしかスパゲッティを食べることはできない。そして、宿泊客でないとレストランに入れないらしい。 製作 / 1988 フランス [フランス語作品] 監督 / リュック・ベッソン キャスト / エンゾ … ジャン・レノ ジョアンナ … ロザンナ・アークエット

ハウスキーパーの機嫌

また、切れてしまいます。