家事をキーパーに任せてイタリア映画とワインで休日を Cinema Italiano
湖畔のひと月 / A month by the lake
1930年代、コモ。毎年休暇をコモ湖畔で過ごす50代の独身カメラマン、ミス・ベントリー。コモのホテルで出会った人たちとの関係と恋のゆくえ。
例年のようにコモ湖畔で一ヶ月ほどの休暇を過ごすミス・ベントリー。いつもと違っていたのは、その年、徐々に少なくなってきていた英国からの客の中に、魅力的な男性を見つけたこと。ただ、若さにまかせて行動するような年はとっくに過ぎていたゆえ、穏やかに会話を交わすのが関の山。そこへ現れたのが、イタリア人家族のベビーシッターとして雇われた若いアメリカ人のミス・ボーモント。ウィルショー少佐はすっかり、若いミス・ボーモントに夢中に。二人の仲をとりもとうとしつつも複雑な思いのミス・ベントリー。自分の気持ちに気づいているのか、いないのか。
遅々として進まない中年の恋に、アクシデントが加わることで発展するという、ストーリーとしてはありきたりのもの。
カメラマンであるミス・ベントリーの作品として映し出される人物や風景はことのほか素敵である。コモ湖畔の風景とともに楽しみたい。
時刻表通りには動かないことも多いといわれるイタリアの交通機関だが、腕時計の遅れのせいで、定期船に乗り遅れるミス・ベントリーとウィルショー少佐。こんな時に限って正確に時刻表通りに運行するとは。
ロケ地 / コモ
製作 / 1995 イギリス [英語作品]
監督 / ジョン・アーヴィン
キャスト /
ウィルショー少佐 … エドワード・フォックス
ミス・ボーモント … ユマ・サーマン
シニョーラ・ファショーリ(ホテルの女主人) … アリダ・ヴァッリ
ヴィットリオ … アレッサンドロ・ガスマン (ヴィットリオ・ガスマンの息子)
魚のスープ / Zuppa di pesce
1950~60年代、オルベテッロ。トスカーナの別荘で家族と過ごした日々を末娘・イザベラの目を通して描く。
ローマに暮らす映画プロデューサー、アルベルトの家族は再婚(実際には結婚していないのだけれど)同士のために、それぞれの連れ子と二人の間の子供とがいて複雑なのだが、休暇は仲良くトスカーナの別荘で過ごす。一家の収入は映画の成功に左右されるため、裕福であったり、家具を差し押さえられたり、浮き沈みが激しい。イザベラは、父を尊敬するものの素直に父と接することができずにいる。
思春期のイザベラの父への反発と、父への愛。その後イザベラは父と同じ映画に携わる仕事に就く。反発したり、「父親としては失格」などと言っていても、彼女は父を愛しているのだし、映画人として尊敬し認めていたことがわかる。ストーリー運びに冗長な感は否めないが、それものんびりとした休暇の描写と受け取ろう。休暇の終わりに訪れる寂寥感が最後に残るストーリーである。
タイトルの魚のスープは魚介類をトマトと一緒に煮込んだトスカーナの沿岸部地方のごちそう。正式には5種類の魚介類を入れるものだそうで、材料の魚介類を買いに行ったイザベラが、買ってきた魚の種類が少ないと父に叱られるシーンもある。この魚のスープ、複雑なイザベラの家族を象徴するかのようでもある。
別荘には、映画の編集等に使う機器類もあり、イザベラも何度かここで映画を見る。そのうちの「シェルブールの雨傘」では、画面にイタリア語字幕が付いているのが見える。(通常、イタリアでは外国語映画は吹き替えで上映される)
ロケ地 / オルベテッロ
オルベテッロはローマとピサの中間、トスカーナ州沿岸部南端の街
L'Hotel I Presidi Orbetello
La Locanda di Ansidonta
製作 / 1992 イタリア・フランス
監督 / フィオレラ・インファシエリ
キャスト /
父(アルベルト) … フィリップ・ノワレ
母 … マーシャ・メリル
サン・ロレンツォの夜 / La notte di San Lorenzo
1944年8月、トスカーナ、サン・マルティーノ村。ドイツ軍/ファシストの支配下にある村から、米軍の助けを求めに行く人々のドラマ。チェチリアが6才だった頃に起きたできごとを、自分の子どもに語って聞かせる回想。
44年8月、すでにドイツ軍支配下にあった村、サン・マルティーノでは、いくつかの家が近いうちにドイツ軍により爆破される予定だったため、村人たちは、村の名士の家に避難していた。ある日、ドイツ軍の指示で村人を一ヶ所に集めることになった。その場所以外にいる者は殺されるという。指示に従い、教会に身を寄せるひとびとと、近くまで来ているはずの米軍を探しにいこうとするひとびと、村人は二つのグループに分かれた。ひとびとが村を出た夜、他の家々とともに、爆破されたのは皆の集まる教会だった。
ドイツ軍に従い、村人を教会に集めた神父は自分の行動のために傷ついた人々を見ておろおろするばかり。「無防備都市」のドン・ピエトロ神父の、信念からくる力強さとは対照的である。
米軍を探し当てるまで、お腹を空かして歩きつづけ、飛行機の音に脅え、そして、追跡してきた同胞(ファシスト)と殺し合う。そんな追いつめられた状況であるにもかかわらず、その道のりは子どもであったチェチリアには、ピクニックのような楽しいものと映る。そして、リーダーであった老人には若い頃の思いを、偶然相手に伝えるチャンスが訪れる。戦時下の人々の思いを、それぞれのエピソードを重ねて綴っていく。老人の体験、結婚前の娘の思い、ファシズムに身を投じてきた父親、そして、少女の目に映るもの。
顔も名前も知っている者同士が、主義が違うというだけで敵・見方に別れて殺し合うことになる。戦争が引き起こした愚かな行為。個々の人々に罪はないのかもしれない。でも、考えが主義となり、国家の主張となれば、ときにそれは狂気に近づく。互いに銃を向けることの他に、問題を解決する方法はあるのに、である。
この作品の題材は、実際にタヴィアーニ監督が体験したこと、他の体験者から取材したことを再構成したもの。
8月10日の聖人はサン・ロレンツォ。この日の夜、流れ星に願いをかけると、その願いがかなうのだという。
教会の絵画の真似をして、寄り目になるチェチリアがキュート。
ロケ地 / トスカーナか
舞台となったサン・マルティーノ村は架空の村。タヴィアーニ兄弟の故郷、サン・ミニアートをモデルとしている。
製作 / 1982 イタリア
監督 /パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ
キャスト /
チェチリア … ミコル・グイデッリ
コンチェッタ … マルガリータ・ロサーノ
コッラード … クラウディオ・ビガーリ
また、切れてしまいます。