映画紹介

自転車泥棒|シャンドライの恋|終着駅

自転車泥棒 / Ladri di biciclette 1940年代、ローマ。大戦後の、失業にあえぐ労働者たちの日常を浮き彫りにした作品。生活のため、仕事を確保するために、自転車を盗んでしまう男。俳優は一部を除いて、本当の当時のローマの労働者たち。つまり、素人である。それがこの作品をよりリアルなものにしている。 職安に通いつめるアントニオが2年ぶりに得た仕事は、街頭のポスター張り。だが、仕事に必要な自転車を持っていることが条件である。あわてて、質入れしてあった自転車を請け出してくるのだが、運悪く仕事の初日にその自転車を盗まれてしまう。盗まれた自転車を探して奔走するが、そう簡単には見つからず、最後に彼はつい、他人の自転車に手を伸ばしてしまう。 戦争は終わり、平和が訪れたといっても、それで問題がなくなったわけではない。定職に就けずに不安定な日々を過ごす人々が、やっとありついた仕事に執着する気持ちは、想像以上に強いものなのだろう。 またアントニオの子供、ブルーノが健気。なんとか、父親の役に立とうと、自転車の手入れをしたり、盗まれた自転車の部品を探したり背伸びをする。が、リストランテで隣のテーブルの子供に張り合ってみたりするところは、まだまだ子どもらしさが残っていてかわいい。 ピッツァでも食べようと入った店で、「うちはリストランテだから、ピッツァはおいてない」と言われる場面がある。ピッツァは軽食であり、ピッツェリアで食べるもの。フルコースをオーダーするようなリストランテにはピッツァはおいてないものなのだ。 ロケ地 / ローマ 盗まれた自転車を探しに日曜日のメルカートへ出かけていく。二つ目のメルカートはポルタ・ポルテーゼの蚤の市。通称”泥棒市”といわれ、盗品が売られていることも多いというところである。 製作 / 1948 イタリア 監督 / ヴィットリオ・デ・シーカ キャスト / ブルーノ … エンツォ・スタヨーラ
シャンドライの恋 / Besieged 1990年代、ローマ。イギリス人ピアニストのキンスキーと彼の屋敷で住み込みで働くシャンドライとの恋。 キンスキーの屋敷で働くシャンドライはある日彼から愛していると告白される。だが、シャンドライには服役中の夫がいた。シャンドライの愛を得るためならなんでもするというキンスキーに、シャンドライは夫を刑務所から出してほしいと言ってしまう。 少しずつ屋敷の中から消えていく調度品、故国の切手が貼られた封筒、そして夫から届いた手紙。シャンドライは自分のためにキンスキーが何をしているのかに気づく。 ストーリーのほとんどは、スペイン階段のそばにあるキンスキーの屋敷の中で進行する。明るい階上の部屋でキンスキーはモーツァルトやバッハを奏でる。日の入らない階下にあるシャンドライの部屋でラジカセから流れるのはアフリカン・ポップス。二人のそれぞれの世界を隔てるのは螺旋階段。「幸福の王子」のように、身の回りのものを削り取りながら女への愛を示そうとする男。こんな愛しかたをされた女は、どうやってその気持ちに応えたらいいのだろう。男の胸に飛び込めば、彼のしてきたことの意味がなくなる。夫の元へ戻れば、男に背を向けることになる。 二人を隔てていた螺旋階段は、やがて二人をつなぐものへと変化する。少ないセリフを補完するような映像の美も楽しみたい。 医学生であるシャンドライの試験のシーンがある。ペーパーテストが主流の日本とは違い、試験官の質問に口頭で答えるという方法が、イタリアでは主流らしい。 ロケ地 / ローマ、ケニア スパーニャ駅、スペイン階段 撮影に使用された螺旋階段がある屋敷は、地下鉄スパーニャ駅のスペイン階段側出口を出てすぐ左手。屋敷の裏側は、スペイン階段に面している。 製作 / 1999 イタリア [英語・イタリア語作品] 監督 / ベルナルド・ベルトルッチ キャスト / キンスキー … デヴィッド・シューリス 原作 / ジェイムズ・ラスダン 『シャンドライの恋』 角川文庫 ISBN:4042846017 岡山 徹【訳】
終着駅 / Stazione Termini 1950年代、ローマ。旅行中の恋の相手、ジョヴァンニと別れて、家に戻ろうとするメアリー。メアリーの乗る列車が出発するまでの、テルミニ駅での2時間。実際の時間と、物語の時間とがほぼ一致するという手法の作品である。 メアリーはローマ滞在中に、ジョヴァンニというアメリカ系イタリア人の男性と恋に落ちた。しかし、メアリーには、アメリカに夫も娘もいる。ジョヴァンニとの恋を振り切ろうと、別れも告げず、一刻も早くローマを離れようとするメアリー。しかし、追ってきたジョヴァンニときっぱり別れることができず、メアリーは次の列車に乗ることにする。 描かれているのは、二人の別れ際の数時間。しかも駅構内だけという限られた状況にもかかわらず、観ている私たちには、二人がここへくるまで、どのような関係だったのかが伝わってくる。好きだからという気持ちだけでは結ばれない、事情のある恋であったのだろうと。 またカメラは、駅を通過する人々もとらえている。自分の具合が悪くなろうとも、お金は生まれてくる子どものためにと微笑む妊婦、グループで行動する神父たち、先生に引率される聾唖学校の生徒たち。ドラマは男と女だけのものではないのである。 このメアリー、なんとも引き際が美しくない。別れを切り出したかと思えば、彼の求めに応じ、ついていくのかと思えば、子供服の飾られたショーケースを見て、ぼんやりとする。夫も娘も大切だし、目の前のあなたとも離れたくない、と。潔くないのである。 ロケ地 / ローマ 全編に渡り、ローマの玄関口、テルミニ駅構内だけで物語が進行する。 製作 / 1953 イタリア・アメリカ [英語作品]       … 英語のセリフは「ティファニーで朝食を」のトルーマン・カポーティによるもの 監督 / ヴィットリオ・デ・シーカ キャスト / ジョヴァンニ … モンゴメリー・クリフト

家政婦の機嫌

また、切れてしまいます。